* この投稿は米国時間 6 月 2 日、Google Cloud Platform Blog の Editor である Alex Barrett によって投稿されたもの(投稿はこちら)の抄訳です。


Google Cloud Platform(GCP)への移行は、それ自体は大変ではありません。考えるべきことがたくさんありますが、幸いなことに全てのことを一度に考えなければならない、というわけではありません。

Google Cloud ソリューション アーキテクトの Peter-Mark Verwoerd は、『 Getting to the Cloud with Google Cloud Platform : A Sequential Approach 』(GCP でクラウドに移行 : 段階的アプローチ)というプレゼンテーションで、オンプレミス環境から GCP へのワークロードの移行を 5 段階で行う方法を解説しました。

このウェブキャストは全編を通して見る価値があります。本ブログでは、そのあらましをご紹介しましょう。


フェーズ 1 : 評価

最初に、既存のアプリケーションを洗い出し、クラウドにどれだけ適しているかを評価します。評価の観点としては、ハードウェアとパフォーマンスの要件、ユーザー、ライセンス、コンプライアンス ニーズ、アプリケーションの依存関係などがあります。

一般的に言えば、アプリケーションは 3 つに分類されます。すなわち、クラウドに移行しやすいもの、移行しにくいもの、移行できないものです。

私たち Google の経験を基にすると、移行しやすいものに分類されることが最も多いのは、(当然のことですが)グリーンフィールド(既存環境による制約がない新規開発の)アプリケーション、開発およびテスト環境、品質保証環境です。

社内ウェブ アプリケーションやバッチ処理アプリケーションも、クラウドに移行する有力候補です。スケールアップよりもスケールアウトがパフォーマンス向上に効果的だからです。


フェーズ 2 : パイロット

1 つか2 つのアプリケーションを選んで移行してみる段階です。GCP とその設計パターンについて学習し、時間をかけてパフォーマンスを検証します。そして、ライセンスの選択肢を検討し、ロールバックを行う方法を確立します。

この段階を省略するのは禁物です。また、一度にあまりにも多くのアプリケーションを移行しようとしないでください。



フェーズ 3 : データの移動

最初にアプリケーションを移動してからデータを移動することを勧める人もいますが、私たちの意見は違います。ほとんどのアプリケーションは、さまざまな依存関係がある多くのデータを持っています。まずはデータをクラウドに適切に移動することが、アプリケーションの移行を成功に導きます。

この段階では、クラウド ストレージのさまざまな選択肢の検討も行います。通常の Cloud StorageCloud Storage Nearline か、ローカル SSD か永続ディスクかを検討します。あるいは Cloud SQLCloud DatastoreCloud Bigtable から選ぶことも考慮します。

また、データの移動方法についても検討しなければなりません。バッチ データ転送、データベース ダンプを使うオフライン ディスク インポート、永続ディスクへのストリーミングといった選択肢があります。この段階では検討すべきことが多々あります。


フェーズ 4 : アプリケーションの移動

データはクラウドにありますので、次はアプリケーションの移動です。この段階でも、決めなければならないことがあります。私たちがお勧めするのは、物事をシンプルに保ち、アプリケーションをクラウドで動かすために必要最低限のことを行うことです。

たとえば、単純なリフト アンド シフト(アプリケーションを再設計しない)方式で移行することがその 1 つです。あるいは、アプリケーションをバックアップする目的でクラウドに移行することも可能かもしれません。その場合、オンプレミス環境でそのアプリケーションが停止しても、GCP 上のフルコピーに動作を引き継ぐことができます。


フェーズ 5 : 最適化

ここからが、GCP を利用するうえでの醍醐味です。アプリケーションとそのデータを GCP に移行したら、それらをより効果的に運用できる優れた方法を検討できるようになります。

たとえば、アベイラビリティ ゾーンの利用という形で冗長性を高めたり、自動スケーリング グループによって弾力性を向上させたり、Stackdriver で監視の精度を上げたりといった選択をすることになるかもしれません。

また、静的な資産をアプリケーション層から Cloud Storage にオフロードしたり、Pub/Sub を使って層を分離したりしたくなるかもしれません。Google Cloud Deployment Manager を使用すれば新しいインスタンスの起動やスケーリングが容易になりますし、構成をセカンダリ リージョンにコピーすれば地域で停電が発生しても影響を免れます。




いかがでしょうか。かなり期待できるアプローチと言えるでしょう。


もし仮想マシン(VM)の移行に強力な体制で臨みたい場合は、クラウドへの移行や GCP の専門家である Google のシステム インテグレーション パートナーが喜んでお手伝いします。GCP への移行に関する包括的なガイド(推奨パートナーのリストを含む)が https://cloud.google.com/migrate/ に掲載されています。

最後にもう一度。冒頭に挙げたウェビナーには、上で紹介した移行アプローチがステップ バイ ステップで解説されています。