スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアなど、多くの生活者が毎日のように利用する小売店では、膨大な量のマーケティングデータが日々蓄積されています。今回紹介する株式会社True Data は、そんな“ビッグデータ”を正しく解析し、利用価値の高い状態で小売店やメーカーに提供することを目的とした企業。そんな同社が、この春、Google BigQuery を導入した真意とは?

■ 写真左から
  • 企画本部 アナリティクス・ソリューション部課長 烏谷正彦さん
  • 顧問 田中覚さん

■ 利用中の Google  Cloud Platform サービス




True Data の業務は、クライアントとなる小売業者(スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストアなど)から預かったポイントカードを保有する消費者の購入情報(ID-POSデータ)を分析し、それに基づいたコンサルティングや、簡単にデータ活用ができるようにするための分析基盤を提供するというもの。2000 年の創業以来、オンプレミスの社内システムでこれを行ってきましたが、年々、膨大になっていくデータの前に、いよいよそれが限界に。これを受け同社顧問・田中覚さんはクラウドを利用したシステムへの移行を検討し始めました。

「True Data が保有する約 5000 万人の、20~30 億件にも及ぶ購買データをより効率的に分析できるようにすること、それが当時の私のミッションでした。その際、最も重視したのがスピードです。これまでのシステムも悪いものではなかったのですが、あまりに扱うデータが大きくなりすぎたため、何をするにも時間がかかってしまっていました。“分析”とは“仮説”と“検証”の繰り返し。ああでもない、こうでもないとトライ&エラーを繰り返していくことでデータを読み解いていきます。この際、システムの応答が遅いというのは大きな足かせになってしまいます。システムを利用する業務メンバーの思考を止めない処理速度を実現する必要がありました」


そこで選ばれたのが、処理速度に定評のあった Google BigQuery。システム開発を担当した株式会社グルーヴノーツからの推薦もあり、多くの選択肢との比較の末、今春から BigQuery を利用した新システムの運用がスタートしました。

「グルーヴノーツさんが言うような速度が出るのか、当初はやや懐疑的でした」と当時をふり返るのは、システムを現場で利用する分析チームのリーダーである烏谷さん。社内の技術者も、分析チームの他のメンバーも、これまでの苦労を知っているだけに、それが一気に解決するとはとても思えなかったそうです。「これまで何時間もかかっていた処理が、5 分で終わりますなんて言われてもそう簡単には信じられませんよね(笑)」(烏谷さん)

「ところが、実際にデータを回してみると、これが想像以上に速い。圧倒的でしたね。軽く 10 倍以上は出ていると思いました。確かにこれなら、思考を止めることなく作業ができます。また、いままでのシステムでは速度の問題もあって、対象とするデータをある程度まで絞り込むようにしていました。しかし、BigQuery 導入後は全てのデータを 1 つの箱に放り込んでおけるようになるなど、使い勝手も劇的に改善。これまでの 10 倍以上の効率で作業を進められるようになりました」(烏谷さん)


「ちなみに、この使い勝手の向上には、グルーヴノーツさんの誇る「BLOCKS」というソリューションが大いに貢献してくれました。BigQuery はアナリストならともかく、業務メンバーにはそこそこ敷居が高かったのですが、BLOCKS を使えば、技術的知識がそこまでないメンバーでも、一度レクチャーするだけで複雑な分析を気軽に行えるようになるんです。最終的には営業チームも含めた、全てのスタッフがBigQuery を使えるようになることが目標。これが実現すれば、顧客先で気になる数字をサッと取り出すなんてこともできるようになりますよね。本格導入してまだ数ヶ月といったところですが、すでにこのシステムに懐疑的なスタッフは 1 人もいません」(田中さん)

ただし、BigQueryの導入はいまだ道半ば。まだ社内でアナリストがコンサルティング業務に利用するデータ分析基盤の構築が完了したところで、今後はクライアントである小売店やメーカーに提供している分析基盤にも適用範囲を拡大していきたいそうです。

「顧客向けデータ分析基盤についても、データマートを作るところまでBigQueryの導入が進みました。これによって、データマートの最適化が進み、パフォーマンスの向上や扱うデータの鮮度が高くなるという恩恵が得られています。ただ、この作業はここからが大変。なまじ、一部分が上手くいっているため、大きなプレッシャーを感じますね(笑)」(田中さん)


また、コスト面での最適化も課題の 1 つ。現時点でも既に従来システムと比べて 7割のコストダウンに成功しているものの、いろいろなことを試しながら進めていることもあって、目標としている数値には至っていません。「BigQuery のクセをつかめるようになれば、そう遠くない未来には当初の 10 分の 1 程度にまでコストダウンできるはず。そうすれば、速度×効率×コストパフォーマンスでそれぞれ 10 倍の改善が図れたことになりますから、トータルで 1000 倍の効率化ということになりますね(笑)」(田中さん)


「現在は、まずBigQuery の利用を始めたという状況ですが、Google Cloud Platform の先進的な機能にはとても興味を持っています。例えば機械学習などを駆使して、より有用なデータモデリングや処理の自動化などができるようになると面白そうですよね。将来的にはそういったシステムの開発も検討していきたいと考えています」(烏谷さん)